
マンガ家たちは、戦争の何を描いたのか
本書は、1970年代と2000年代に発表され、埋もれていた戦争マンガの作品集である。具体的には、矢口高雄のデビューまもない頃の「燃えよ番外兵」(原作・小池一夫)、バロン吉元の初期の傑作「黒い隼」など、5作品。いずれも太平洋戦争を扱っている。ウクライナにおいて戦争が進行中の今こそ、戦争とは何か、戦争は人間や社会にどのような影響をもたらすのか、を考えるべきではないだろうか。そして、もし自分が戦争に巻き込まれたらどうなるか――。そんな緊張感を持って読んでほしい。「『我が国はもう戦争なんてするはずがない』と思い込んでいるかもしれないが、いつ何がどうなるか、先のことはわからない」(里中満智子「解説」)のだから。
(以下、作品)
「黒い隼」 バロン吉元
「銃後(15)の春」 木村直巳
「燃えよ番外兵」 矢口高雄・作画、小池一夫・原作
「かわいそうなゾウ」 北川玲子
「初恋の桜」 川島れいこ
解説 里中満智子
祥伝社新書 定価:1485円